俺の頭にはアンソニーの事しか浮かんでこなかった。
いつもの通り、にせポニーの丘でたばこを吸っていた。
「テリィ!いい加減にたばこはやめて!シスターグレーに見つかるわよ!」
「別に見つかってもお咎めなしさ。俺の親父のせいで厄介者扱いさ。。触らぬ神に祟りなしってとこだな。。」
「どうしてそんなに意固地に。。あなたはそんな人じゃないわ!なぜ何もかも投げやりに。。」
「キャンディ、俺になぜ構うんだ?君はバラをいーこいーこしてる君が忘れられないんだろ?さては俺の事が好きでたまらない。。」
「ちょっちょっと!勘違いしないでもらいたいわ!誰があなたなんか!」
「冗談だよ!学院一の不良をキャンディが好きになるはずがないって君の従兄弟にも言われたさ!」
「アーチーの事?」
「あーそうだよ、あの生意気なおしゃれ野郎め!あいつも君の事好きなんだな!」
「やめてよ!アーチーの事そんな風に言わないで。アニーが可哀想だわ。アニーは昔からアーチーの事好きなの。だから。。」
「アーチーだの、アニーだの、俺には関係ないね、じゃ。」
「ちょっと!どこ行くの?」
「どこでもいいだろう?それとも一緒に来るかい?」
「どこ行くのか教えてくれたら。。」
「君の仲間が一杯いるところさ。」
「どこよ!それって。」
「付いて来るかい?」
「ええ。。」
「じゃ、一緒に行こう。街へ出るんだ。寮を抜け出すんだ。できるかい?」
「ええ、お安いご用です!」
「さすがターザンレディだ!じゃブルーリバー動物園で待ち合わせだ。」
「動物園?!」
「言ったろう?君の仲間がいるところだって。」
「もう!失礼ね!」
「そんな顔のゴリラもいたっけな!」
「テリィ!」
「行くのかよ?」
「行くわよ、もう!」
俺とキャンディは動物園で待ち合わせした。
「キャンディ、こっちだ!」
「テリィ! 普段の日でも人が一杯なのね!どこに行くの?」
「こっちだよ、そこの小屋だ!」
「? あっ アルバートさん!」
「キャンディ!やぁ!テリィじゃないか!二人で揃ってデートかい?」
「アルバートさん!そんなんじゃないわ!」
「この間はどうも!おかげで助かりました。お礼を言いに来たんです。」
「そうなのか!もうキズは大丈夫かい?」
「ええ、すっかり!キャンディ、どうしてアルバートさんを知ってるんだい?」
「ええだって、アメリカで、滝に落ちたところを助けてもらってからずっと知ってるの。ラガン家でいじめられてた時から。」
「そうなんだ!アルバートさんはアメリカ人なんだな。」
「キャンディ、テリィ、ちょっと仕事が入ってるんだ!まあゆっくりしていってくれたまえよ。また後で!」
俺とキャンディは小屋へ残された。
俺は気恥ずかしくなって。。
「キャンディ、外へ出ないか?」
「ええ、いいわ!」
「ほら、君の仲間がたくさんいるぞ!」
「サルの事ね!もう!テリィったら!まあ、似てなくもないわね。。」
「ちょっと待ってて!」
俺はキャンディとポップコーンを買いに行った。
「テリィ?!どこに行ったの?」
あいつ、俺がどこに行ったかわからなくなってる。。
「キャンディ!ほら!」
「わぁっびっくりしたわ!まあ、キャンディ!それにポップコーンも!ありがとう!テリィ!」
「ほらポップコーンはこうやって食うんだぜ!」
俺はポップコーンを上に放り投げて口に入れた。
キャンディもすぐ真似をした。
「あ〜あ、落っことしちゃった!」
「こっち来いよ。」
俺はキャンディの手を引っ張った。
「テリィ!」
「君を繋いでおかないと、迷子になるからな!」
俺はキャンディと手を繋いだ。キャンディは手を放すかと思ったが、意外にもそのままにしている。それよりか、俺の手を握っている。こいつ。。
「テリィ!見て!あなたにそっくりなのがいるわよ!」
「なんだよ!」
「ほら!ナマケモノだって!あははは!テリィとおんなじね!」
「こいつ!」
俺はキャンディの頭をチョンと突いた。
「ほら!」
「えっなに?」
「腕!」
「ええ、、ありがとう。。テリィ。」
俺はキャンディに腕を貸した。俺は照れ臭くてキャンディの目が見れなかった、というか、嫌われているのではないかと内心思っていたが、そうでもなく、いつの間にか俺たちはくっ付いて歩いていた。
「テリィ。。私、あなたを。。」
「なんだい?」
「いいえ、あなたを誤解してたと思うわ。。テリィは本当はとても優しい人だと思って。」
「ふふふ、俺は男だぜ!信用してると、悪魔に変わって。。」
「なっ、何よ!!」
「君を食べちまうぞ!!」
「やめてよ!もう!」
「ははは、もっと美味しそうな美女ならね!」
「。。。!」
「キャンディ、そこに座ろう!」
「ええ!あ〜、広々として気持ちいいわね〜!学院では息が詰まりそうですもの!」
「君は野生児だからな!」
「あら、テリィだってそうじゃない!」
「キャンディ。。」
俺はキャンディにキスをしたくなった。
「なっなによ!変な事しないでよ!」
だが、俺の事どう思っているのかわからない。。
「クククッあのね、君の髪の毛にゴミがくっ付いてるから取ってやろうと思っただけだよ!誤解するなよ。」
「テリィ。。!」
「さっ行こう!アルバートさんが待ってる!」
「ええ。。。テリィ。。」
「ほら、手をかして。」
「ええ!」
「やぁ!楽しんだかい?動物園は。」
「ええ、懐かしいです。それにキャンディの仲間がたくさんいて、面白いですね!」
「もうテリィったら!そんな事ばかり言うんだもの!アルバートさん!何とか言って!」
「ははは!ここにセントポール学院の問題児が二人揃っているとはね!」
「問題児?私が?」
「キャンディは相変わらずだし、テリィ、君も君だ!
まあ僕は一生問題児だけどね!」
「アルバートさんも?!」
「ああ、そうさ!」
「僕も!」
アルバートさんは兄貴みたいに思えて俺の心は穏やかで明るくなっていった。それにキャンディとも今日はケンカせずに過ごせた。
「キャンディ、今日は楽しかったかい?」
「ええ!テリィ!来てよかった!まさかアルバートさんと会えるだなんて!夢のようだわ。それに大好きな動物たちと過ごせたし!アンソニーも動物大好きだったのよ!」
キャンディはまたアンソニーの事を口走った。
「またアンソニーか!」
「。。!なあに、急に。。!」
「死んだ奴の事なんて早く忘れろよ!」
キャンディは俺の腕から手を引っ込めた。
「なぜそんな事を言うの。。?あなたには。。」
「俺には関係ないって言う事か?」
「そうじゃないけど、そんなアンソニーの事を今言わなくても!」
「君の心にはいつもそのアンソニーって奴がいるから言ってるんだ!」
「どうしてそんなひどい事を!私何にもアンソニーの事なんてあなたに何も言った事ないわ!」
「勝手にしろ!」
「テリィのバカ!」
俺とキャンディはまた喧嘩して別々に寮へ戻っていった。